私は2001年春に引き続きYDRへの寄付金集めに10月25日から6日間、
空き倉庫を借りてチャリティーバザーを開いていました。
昼間の数時間はルルも店番犬として一緒に連れて行きました。
そんな、ある日。店先に繋いでおいたルルが突然凄い声で鳴き出したのです。
全身がブルブルと振るえ、尻尾は引きちぎれんばかりに振っています。
もうリードが外れて道路に飛び出しそうな勢いなのです。
この激しいリアクションに一体何が起こったのか駆け寄ってみると、
外に陳列してあるバザー商品を眺めている年配の女性に向かって
鳴き叫んでいるようでした。
「こっちを向いて!私に気が付いて!」
……ルルは本当にそう言っているように見えました。
私は( ドキッ )としました。ルルを知っている人には違いない。
でも、元の飼い主と繋がりのある人には知られたくないと思っていたのです。


この子の尋常でない鳴き声に気が付いたその人は、ゆっくりと犬の方に
近づいて来ました。二本足で立ち上がり、自分に向かって両手を空中で
一生懸命もがいている犬を何ともいぶかしげに、しばらく黙って見ていました。
私もじっと黙っていました。・・・・・やがて、
「このワンちゃんはお宅のワンちゃんですか?」
少し腰をかがめてルルに手をやりながら、私に尋ねてきました。
(あ、やっぱりきたな…)と内心ドキドキしつつ、「はい、そうです。」と言うと
「失礼ですけど、保健所かどこからか引き取ってこられたのですか?」
と聞かれてしまいました。その質問にハッキリと答えることが出来ない私に、
その女性はとても静かに、ゆっくりと話始めました。 


「家の近所に餌をもらっていない犬が居ましてね。
その子に餌を持って行っていたのですが…その子に良く似ている気がして…。」
「その子…何て名前だったんですか?」飼い主にサインしてもらった書類には、
それまでのルルの呼び名が書いてありました。 
もしもこの人がルルの昔の名前を知っていたら私は全て黙っているつもりでした。
「名前は知りません。いつも夜遅くなってから持っていったので…」
それを聞いたとたん、それまでの緊張と入れ替わるように熱いものがこみあげて来ました。
(ルルの命を繋いでくれた人にようやくめぐり逢えた!)


「実は、この子はその犬です。」
この子に餌を与えに来てくれた人が、犬が居なくなった後きっと心を病むに違いないと
保護をした時からずっと気掛かりだった事を伝えました。
案の定その人は、誰かの通報で保健所に連れて行かれたに違いないと思っていたようで、
もっと美味しい物を食べさせてあげれば良かったと、様々な後悔で毎日胸を痛めて
泣いていたのだそうです。私とその人はそれぞれに持っていた胸の痛みや気掛かりが、
感謝の言葉となって、涙となって溢れだしました。
バザーを手伝いに来てくれていた従姉妹も、そこに居たお客さんも
一緒にもらい泣きしていました。


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